「ここはもうトルコだよ!」
埼玉県川口市。隣接するJR蕨駅に降り立つと、トルコ語のアナウンスが聞こえてきます。
この蕨駅周辺に数多く暮らしているのがクルド人です。
コリアンタウンや中華街のような匂い立つエキゾチズムはない。
クルドの香りをわずかに感じるのは、数軒のトルコ料理店やケバブ屋くらいだ。
注目は、この街に現れた「クルド人コミュニティ」。
彼らは、一体どこからやってきたのか? 何をしに日本へ?
そして、私たちはこの「民族」とどう向き合うべきなのか?
目次
川口市のクルド人とは?
クルド人は、中東で第4番目の大きな民族ですが、彼らはトルコ、シリア、イラク、イランなどに分散して暮らしています。
特筆すべきは、彼らが独立国を持たない点です。
彼らは、トルコでの迫害から逃れて日本にやってきましたが、日本の出入国管理局からは厳しい扱いを受けながらも、帰国することができない状況に置かれています。
川口市のクルド人の人口は?
埼玉県南部の川口市や蕨市には、約2000人のクルド系トルコ人が居住していると考えられています。
引用元:東京新聞
クルド人はなぜ増えたのか?
1990年代から、クルド人は弾圧や抑圧を逃れ、親戚や知人を頼って日本へ来日し始めました。
当時は少数でしたが、家族や親戚との強い結びつきを持つクルド人たちは、徐々に仲間を呼び寄せ、2010年代には急増しました。
クルド人が日本にいる理由
日本への入国は、短期間の滞在(3ヶ月)ならビザを取得しなくても可能であり、特にトルコ国籍のクルド人は観光目的で日本に入国し、その後難民申請や労働ビザの取得により、長期滞在を目指すことが一般的です。
川口市がクルド人の定住地となった理由には、地理的要因や土地柄が大きく関わっています。
この街は、かつて鋳物産業が盛んであり、外国人労働者が多く働き、住んでいた歴史があり、
そのため、外国人受け入れに寛容な土地柄として知られています。
さらに、川口市は東京の中心部から電車でわずか30分ほどの距離に位置し、交通の便が良いのにも関わらず、都心部に比べて家賃や生活費が安価なことも魅力の一つです。
このような理由から、多くのクルド人が川口市を選び、定住しているのです。
クルド人コミュニティの実態
「どんな人間でも助け合う」
クルド人たちは、厳しい生活を強いられながらも、同じ民族、同じ文化を持つ者同士、助け合い、連帯することで、
困難な状況を乗り越えてきました。
日本でも、この精神は受け継がれています。
困っている人がいたら、誰でも手を差し伸べる。
それが、蕨駅周辺のクルド人コミュニティの特徴です。
日本クルド文化協会は、2013年4月に設立され、主に日本在住歴が長いクルド人を中心に約200人のメンバーで構成されています。
川口・蕨エリアのクルド人コミュニティーのまとめ役として活動しており、
・クルド料理教室など
定期的に開催し、在日クルド人と地域の日本人住民との交流を深めています。
また、若手メンバーを中心に、
・パトロールなどのボランティア活動
地域住民との共生を目指し、良好な関係を築く努力をしています。
周辺住民が受ける印象は?
一部の住民は、正直な気持ち・・・
川口市から出ていってほしい
という人もいます。
一部のクルド人がトラブルを起こしてしまっているためですね。
ただし、良心的な意見もあります。
埼玉県南部の川口市と蕨市には、約2000人のクルド人が暮らしています。
しかし、彼らは特定の地域に集中しているわけではなく、広範囲に分散して生活しています。
その結果、街全体に溶け込み、一見すると目立ちません。週末になると、イオンモールには多くのクルド人が買い物に訪れます。
しかし、彼らも一団で行動することは少なく、周囲に溶け込むように買い物を楽しんでいます。
むしろ、目立たないように生活することを意識しているようにも見受けられます。(周辺住民)
最近、私の住む団地と街は大きく様変わりし、以前よりも多くの外国人が暮らすようになりました。
右も左も、上も下も外国人だらけ。
生活習慣や文化の違いから、トラブルや問題は確かに存在します。
しかし、それは日本人同士でも同じことではないでしょうか。
大切なのは、「多文化共生」という大げさな言葉ではなく、一人ひとりの人間関係を築いていくことだと私は考えています。(周辺住民)
地域住民の人達は、クルド人との人間関係を築いて行くことを考えています。
私たちはクルド人とどう向き合うべきなのか?
地域のボランティア活動家が示すように、共に生活する隣人として、
互いに理解し支え合うことが重要です。
地域の日本語教室でのボランティア活動を通じてクルド人との交流を深めることは、素晴らしい一歩です。
この取り組みは、新たな隣人とのつながりを築き、地域社会の一員としての自覚を促しています。
私たちは、クルド人と向き合う際に、単なる「異なる存在」としてではなく、共に生活する仲間として考えるべきです。
彼らの文化や背景を尊重し、互いに学び合い、支え合いながら、より多様で包括的な社会を築いていくことが求められます。
地域のボランティア活動やコミュニティーイベントに参加することで、クルド人との交流を深め、彼らが地域社会の一員として自己実現しやすい環境を作ることができるでしょう。
最後に
川口市は、多様性が息づく街として知られています。
その中でも、クルド人コミュニティーが注目される一方で、地域社会における彼らの存在がより深く探求されるべきです。
トルコからの迫害を逃れ、川口市に定住したクルド人たちが、地域の一員として積極的に活動しています。
日本語教室やクルド料理教室などの活動を通じて、彼らは地域の文化との交流を図り、地域社会に貢献しています。
また、若手メンバーによるボランティア活動は、地域住民との絆を深め、共生の姿勢を示しています。
クルド人コミュニティーの存在は、単なる異文化の一部としてではなく、地域社会の一員として認められるべきです。